○匝瑳市横芝光町消防組合救急業務等安全管理要綱
平成12年12月20日
消防本部訓令第7号
(趣旨)
第1条 この要綱は、匝瑳市横芝光町消防組合救急業務に関する規程(昭和56年消防本部訓令第1号)第53条に基づき、救急業務等に関する安全管理について必要な事項を定める。
(安全管理)
第2条 消防署長(以下「署長」という。)は、地域の実情に応じた安全管理対策を講ずるものとする。
2 安全管理の事前対策は、次に掲げるとおりとする。
(1) 資器材の点検整備
ア 各種救急資器材の機能維持管理
イ 各種救急資器材に起因する事故の未然防止
(2) 事故の状況に応じた装備品の準備
ア 災害状況及び気象状況に応じた個人装備品の準備
イ 災害状況に応じた救急資器材の準備
(3) 訓練の実施
ア 消防隊及び警防課指令班(以下「指令班」という。)又は消防本部との連携要領
イ 危険予知訓練
(4) 救急隊員(以下「隊員」という。)の勤務管理等
勤務状況及び健康状況に応じた救急隊員等の交替乗車計画
3 救急活動時における安全管理の基本
(1) 隊員は、安全確保の基本が自己にあることを認識し、救急活動における安全保持に努めるものとする。
(2) 救急隊長(以下「隊長」という。)は、救急活動の特性に応じた安全管理体制を早期に確立するとともに、救急員及び機関員を指揮して傷病者及び協力員等の安全保持に努めるものとする。
4 救急活動時における安全管理要領
各種事故現場における安全管理要領は、次に掲げるとおりとする。
(1) 応援隊の要請
救急現場において、隊員及び傷病者の安全を図るため隊長が必要と判断した場合は、応援隊を早期に要請するものとする。
(2) 安全確保
ア 傷病者及び協力者等に危険が予測される場合には、迅速に安全な場所へ移動させるものとする。
イ 関係者から危険情報を収集し、安全管理を行う手段を講じるとともに、必要により安全措置を関係者に依頼するものとする。
(3) 妨害行為等への対応
ア 隊員への妨害行為等が予想される場合には、消防隊及び指令班又は消防本部と連携を図り、安全が確保できない場合には救急活動を留保するものとする。
イ 第三者による妨害行為等の発生が予想される場合又は発生した場合は、現場へ警察官の早期要請を行うものとする。
5 事故発生時の対応要領
(1) 救急活動継続の有無にかかわらず事故発生時点において、消防長又は署長に即報するものとする。
(2) 二次災害の防止措置を講じるものとする。
6 事故等の原因及び今後の対策の検討
(1) 救急隊員の受傷事故については、消防長が庁議又は幹部会議において原因及び今後の対策について検討するものとする。
(2) 前(1)以外については、署長が救急活動に関する検討会を開催し、原因及び今後の対策について検討するものとする。
(感染防止)
第3条 救急業務等に関する感染防止対策は、事前対策及び事故発生時の対応を基本として、必要な措置を講ずるものとする。
(1) 感染防止の事前対策
ア 傷病者の血液、体液等に接触する可能性がある場合のゴム手袋着装等、救急活動に係る隊員の感染を防止するとともに、隊員又は救急資器材等が感染の媒介とならないように手洗いの励行及び救急資器材等の滅菌、消毒を徹底するものとする。
イ 応急救護に関する講習の指導者は、講習の実施にあたって普及用資器材の消毒、滅菌等の措置及び感染防止の指導を行うものとする。
ウ 救急活動時の観察及び救急処置上の留意事項は、別記1による。
エ 救急活動時の感染防止措置及び処置内容基準は、別記2による。
オ 救急自動車、救急資器材及び普及用資器材の滅菌・消毒基準は、別記3により行い、車内定期消毒については、毎週1回以上実施する。
カ 滅菌・消毒の区分及び実施要領は、別記4による。
(2) 感染事故発生時の対応要領
署長は、隊員等が救急業務等の実施に際し、感染症に係る病原体により汚染を受け、感染のおそれが生じた場合には、消防長への即報を行うとともに、消毒の実施等必要な措置を講じるものとする。
ア 発生時の応急処置要領
(ア) 隊員や関係者の皮膚等が血液等で汚染された場合は、速やかに流水で十分に洗い流し、消毒用エタノールで消毒する。
(イ) 針刺し事故により、血液等で汚染された静脈留置針又は鋭利物で隊員が受傷した場合は、直ちに創傷部から血液を絞り出しながら流水で十分に洗い流し、消毒用エタノールで消毒する。
イ 発生時の対応要領
(ア) 消防長又は署長に即報するとともに、救急病院救急担当医の助言を受ける。
(イ) 収容医療機関の医師に、当該傷病者の感染の有無の連絡を依頼し、必要によっては治療を受ける。
(ウ) 診断の結果、感染症又は感染症の疑いが生じた場合は、消防長又は署長に報告し、出動不能として、医師又は所轄保健所の指導のもとに車両等の消毒を実施する。
(エ) 消毒に時間を要する場合は、代車編成及び隊員の交替を行い、出動態勢を確保する。
(オ) 感染症であることが確定した場合は、所轄保健所と連携し、その後の対応に当たる。
ウ ヒト免疫不全ウイルス(以下「HIV」という。)感染危険が生じた場合の対応要領
(ア) HIV陽性血液暴露事故発生時の対応は、別記5による。
(イ) 隊員等が受傷した場合は、アによる応急処置を実施する。
(ウ) 抗HIV薬予防服用同意書・抗HIV薬予防投与依頼書(別記6)の記入は、服用時の説明を受け、原則として、受傷職員本人が記入すること。
エ 事故の事後処理要領
関係機関等への連絡内容、消毒の実施結果、隊員等の健康診断結果を記録しておくものとする。
(救急廃棄物)
第4条 消防長は、救急廃棄物を適正に管理するため、署長を救急廃棄物管理者、救急班副主幹を救急廃棄物管理責任者として、救急廃棄物管理計画を作成しておくものとする。
(1) 救急廃棄物管理計画
救急廃棄物管理計画には、次の事項を記載するものとする。
ア 目的
イ 管理者等
ウ 管理方法
エ 回収容器の設置場所
オ 非常時の連絡体制
カ その他必要と認める事項
(2) 救急廃棄物の管理要領
救急廃棄物の処理は、原則として、委託処理専門業者又は別に定める救急関係病院(以下「委託処理専門業者等」という。)に依頼するものとする。
ア 委託専門業者等に処理を依頼する救急廃棄物
(ア) 救急活動に伴い傷病者等の血液、体液等が付着したもの及び付着したと思われる全てのディスポーザブル用品並びに再使用ができないほど汚損が著しい救急資器材
(イ) 普及業務に使用したガーゼ、不織布及び滅菌又は消毒して再使用できないもの
(ウ) その他必要と認められるもの
イ 救急廃棄物の処理上の留意事項
(ア) 救急活動及び普及業務に伴い排出される救急廃棄物は、汚物袋ごと回収容器に投棄し、必ず蓋をすること。
(イ) 毛布等の大型救急廃棄物及び多数傷病者の対応により多量の救急廃棄物が排出された場合には、処理専門業者等に連絡をとり処理すること。
(ウ) 回収容器は、救急廃棄物を投棄しやすく、しかも紛失等の危険が少ない場所に設置すること。
(エ) 回収容器を処理専門業者等へ引き渡す場合は、必要により所定の伝票に必要事項を記載して押印し、相手方の受領印を確認すること。
附則
この要綱は、平成13年1月1日から施行する。
附則(平成16年2月27日消本訓令第3号)
この訓令は、平成16年4月1日から施行する。
附則(平成18年3月24日訓令第1号)
この訓令は、平成18年3月27日から施行する。
附則(平成21年3月31日訓令第2号)
この訓令は、平成21年4月1日から施行する。
附則(平成24年3月1日訓令第1号)
この訓令は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成25年3月13日訓令第5号)
この訓令は、平成25年4月1日から施行する。
別記1
救急活動時の観察及び救急処置上の留意事項
1 観察の結果、血液、嘔吐物、排泄物等がある場合、また、海外から帰国して下痢、嘔吐がある場合は、感染防止に十分配意して行動する。 2 感染の危険がある傷病者に対しては、可能な限り直接接触を避ける。 3 咳、嘔吐の症状がある傷病者に対しては、飛沫感染を防止するために、マスクを着用する。 4 救急処置に伴い、手指に血液等が付着することにより、感染するおそれが生る場合は、手袋を使用する。 5 救急隊員の手指に創傷がある場合は、観察又は救急処置を行う前に手袋を装着し、感染防止を配意する。 6 救急処置に使用した手動式人工呼吸器、マスク等の直接血液等に触れて汚染された救急資器材は、それぞれ汚物袋に収納する。 帰署(所)後、再使用するものは、適正な消毒、滅菌等の処理を行う。 また、廃棄するものは、救急廃棄物専用の回収容器に廃棄する。 7 感染危険のある傷病者をストレッチャーに収容する場合は、事前に救急シーツ等を活用し、ストレッチャー、救急自動車の汚染防止に努める。 8 搬送中の救急自動車内における嘔吐物、排泄物等は、汚物袋に収納し、適正に処理する。 9 静脈路確保のために使用した静脈留置針の内筒針及び穿刺に失敗した翼状針、留置針は、再度ふたをすることなく小容器に収納し、針刺し事故の防止を図る。 10 血液等の付着した傷病者の搬送に際し、付近にいる者に協力を依頼する場合は、救急隊員と同様な感染防止上の措置をとる。 |
別記2
救急活動時の感染防止措置及び処置内容基準
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| 感染防止措置 | 救急処置等の内容 |
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ディスポーザブル手袋の着装 | 1 気道確保、酸素吸入、人工呼吸処置を行う場合 2 止血、創傷処置を行う場合 3 吐物、汚物処理を行う場合 4 その他必要と認める場合 | ||
滅菌ゴム手袋の着装 | 1 分娩介助処置を行う場合 2 吸引処置を行う場合 3 その他必要と認める場合 | ||
ビニール製腕カバーの着装 | 1 出血及び嘔吐等により汚染が予測される場合 2 その他必要と認める場合 | ||
マスクの着装 | 1 ディスポーザブル手袋又は滅菌ゴム手袋を着装して救急処置を実施する場合で、感染防止を図る必要があると認められる場合 2 咳等からの感染防止を図る必要があると認められる場合 3 その他必要と認められる場合 | ||
靴カバーの着装 | 1 出血及び嘔吐等により汚染が予測される場合 2 現場保存の必要がある場合 3 その他必要と認められる場合 | ||
感染防止衣の着装 | 1 血液又は嘔吐物等による感染又は感染等のおそれがある場合 2 その他必要と認める場合 (注) 状況により上衣だけの着装もあるが、隊として統一すること。 | ||
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救急資器材の使用後の処理等 1 救急資器材の処理 使用した救急資器材は、再利用するものと廃棄するものとに区分し、ビニール袋に密封すること。 なお、ビニール袋に密封できない救急資器材については医療機関等において流水による洗浄及び消毒剤による消毒を行うこと。 2 救急資器材の廃棄 救急資器材の廃棄は、第4条に定める救急資器材の処理により行うこと。 |
別記3
救急自動車、救急資器材及び普及用資器材の滅菌・消毒基準
救急自動車及び救急資器材等の清拭方法及び消毒方法は、次によること。 1 救急自動車内、救急資器材及び救急隊員の装備品等は、使用の都度消毒するなど清潔に努めること。 (1) 救急自動車及び救急資器材等(訓練用人形を除く。)の消毒手順は、次の表によること。 | ||||||
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| 区分 | 血液、吐物等による汚染を受けた場合 | 左記以外の汚染の場合 |
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救急資器材 | 1 消毒剤による清拭 2 流水による洗浄 3 消毒・滅菌 | 1 流水による洗浄 2 消毒・滅菌 | ||||
救急自動車内部 | 1 消毒剤による清拭 2 流水による洗浄 3 消毒・滅菌 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 | ||||
備考 | 1 救急自動車で、水濡れを避けなければならない場所は、消毒剤による清拭を行うものとする。 2 消毒実施時には、ディスポーザブルの手袋等を着装すること。 | |||||
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(2) 救急資器材のうち訓練用人形の消毒手順は、次の表によること。ただし、コンピューター付訓練用人形にあっては、表中の「次亜塩素酸ナトリウム」を「消毒用エタノール」と読み替えるものとする。 | ||||||
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| 消毒時機 | 実施要領 |
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使用前 | 顔面及び口腔内を消毒用エタノールで洗浄し、約30秒後に乾いたガーゼでふき取ること。 | |||||
普及実施時 | 人工呼吸の実施者が終了の都度、消毒用エタノールを浸した脱脂綿又はガーゼで口唇部周辺を清拭すること。 | |||||
使用後 | 1 外皮 外皮の汚れは、アルコール等で清拭すること。 2 頭部気道部、胴体内気道部及び肺 セットで使い捨てのものにあっては、適宜交換すること。 3 頭部気道部又は胴体内気道部等 使用状況により、消毒する場合は、次亜塩素酸ナトリウムで消毒実施後、清水で洗い流し、乾燥させること。 | |||||
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別記4
滅菌・消毒の区分及び実施要領
区分 | 項目 | 実施要領 | 注意事項 | ||
薬液消毒法 | 逆性石けん液(塩化ベンザルコニウム) | 1 手指・皮膚……0.05~0.1% 2 器具類……0.1% 〔作り方〕 濃度0.1%の消毒液1 * 消毒液(原液10%) 10m+水990m | 1 結核菌に対して有効ではない。 2 石けん類は殺菌効果を弱めるので、クレゾール石けん液等との併用を避ける。 3 血清、汚物等の存在下では著しく効果が減少するので、器具類に付着している場合は本剤を用いて清拭後、流水により十分に洗い落としてから消毒すること。 4 合成ゴム製品、合成樹脂製品、塗装カテーテル等の使用は避けることが望ましい。 | ||
クレゾール石けん液 | 1 手指・皮膚……0.5~0.1% 2 器具類……0.5~1% 3 排泄物……1.5% 〔作り方〕 濃度1%の消毒液1 * 消毒液(原液50%) 20m+水980m 濃度1.5%の消毒液1 * 消毒液(原液50%) 30m+水970m | 1 濃厚液が皮膚に付着した場合には、直ちにふきとり石けん水と水でよく洗い流す。 2 浄水で希釈すると次第に混濁して沈殿することがあるので、このような場合には、上澄み液を使用する。 3 ウイルスに対しては有効でない。 | |||
消毒用エタノール(エチルアルコール) | 1 手指・皮膚 2 器具類 ※ 使用する時は必要な量だけ取り出し、原液の濃度をできるだけ変化させない。 | 1 希釈しないで使用する。 2 広範囲又と長時間使用する場合には、蒸気の吸入に注意すること。 3 血清、膿汁等の蛋白質を凝固させ内部にまで浸透しないことがあるので、これらが付着している器具等に用いる場合には、本剤を用いて清拭後流水により十分に洗い落としてから消毒すること。 4 手指・皮膚に使用した場合には、脱脂等による皮膚荒れを起こすことがある。 | |||
次亜塩素酸ナトリウム | 1 手指・皮膚……0.01~0.05% 2 器具類……0.02~0.05% 3 排泄物……0.1~1% 4 HBウイルス等 (1) 汚染……1% (2) 汚染(疑)……0.1~0.5% 〔作り方〕 濃度1%の消毒液1 * 消毒液(原液6%) 167m+水833m 濃度0.5%の消毒液1 * 消毒液(原液6%) 83m+水917m 濃度0.05%の消毒液1 * 消毒液(原液6%) 8m+水992m | 1 血清、膿汁等は殺菌作業を減弱させるので、これらが付着している器具等に用いる場合には、本剤を用いて清拭後流水により十分に洗い落としてから消毒すること。 2 金属を腐食させるので、器具等に使用する場合には注意すること。 3 濃厚液が皮膚に付着した場合には、直ちにふきとり石けん水でよく洗い流すこと。 4 結核菌に対して有効ではない。 5 合成ゴム製品、合成樹脂製品、塗装カテーテル等の器具は長時間浸漬しないこと。 | |||
ガス滅菌法 | エチレンオキサイドガス | * 滅菌対象物 救急活動で嘔吐、失禁、出血、分娩介助等により汚染された救急資器材で再利用するもの | 1 滅菌物を事前に消毒剤で清拭した後、水道水で洗浄し乾燥させてから、滅菌バッグに入れること。 2 滅菌バッグは、できるだけ空気を排除して圧着、密封すること。 3 滅菌終了後は、滅菌バッグのまま保管するものであるがエチレンオキサイドガスの脱気不足などで、残留ガスが大気中に放出され続けている場合もあるので、努めて滅菌後時間を経過した物から使用すること。 4 万一ガス漏れを感じたら窓等を開け、換気すること。 | ||
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| 喉頭鏡、マギール鉗子、ラリンゲアルマスク、経鼻エアウェイ、吸引器チップ、マスク(バッグマスク、酸素吸入マスク)、開口器、舌鉗子、止血帯、はさみ等 | |||
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紫外線消毒法 | 殺菌庫 | * 対象物品 救急服、救急白衣等 | 1 回転式なのでハンガーに掛ける時は、からまないように注意すること。 2 扉を閉める時、救急服、救急白衣等が狭まっていないことを確認すること。 3 ランプの有効寿命は、2000時間であるので時間計で管理すること。 4 ランプは紫外線を発するため、裸眼で直視しないこと。 なお、事故防止のためランプを点灯したまま点検・確認等をする必要がある場合は、眼鏡等で目を保護し、30秒以上は見ないこと。 | ||
日光消毒 | 衣類・毛布・敷物等で上記の消毒法で実施できない場合は、薬液消毒法と併用して直射日光で消毒する。 | 太陽光線中に含まれる紫外線は、空気中の水蒸気などで吸収されて、地表に到着するのは、ごく一部だけであり、季節や天候、時間などによって左右されることが多く、あまり確実な消毒法とはいえない。 | |||
その他 | 焼却 | 感染症等の病原体により汚染された物件、器具等で消毒後、再び供用する目的のないもの、又は消毒費用に比較して安価なものは、焼却することが望ましい。 |
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別記5
HIV陽性血液暴露事故発生時の対応